Visiting Stanford University
 
UCSF (University of California, San Francisco)はサンフランシスコ市内にあるのですが、
Stanfordは南に40kmくらい行ったところにあります。たった40km離れているだけですが、
気候はサンフランシスコとは大違い。いわゆるカリフォルニアっぽい、常に暑い気候になってます。
右の写真からその雰囲気を感じ取って頂けるでしょうか??
まあ、サンフランシスコが特別なんですけどね。

さてUCSFとStanfordはいわゆるお隣さんどうしで、実際に研究上の交流も盛んです。
僕が今回Stanfordに行ってきたのも、別に観光というわけではありません。
StanfordにはKさんという人がいて、僕のやっている研究とかなり関係の深い
テーマをずっと研究しています。

彼が何ヶ月か前にUCSFに来たときに僕のデータを見せたらとても興味をもってくれて、
彼のラボでセミナーをやったらどう?っていう話になったのです。
今回やっとその話が実現した というわけです。

というわけで本来は僕だけが行けば良い話なんですが、何故かTomとTomの息子も一緒に車に乗って
行くことになりました。なんでだ〜!?
実はですね、Tomのお父様と兄弟もStanfordに研究室を持ってるんですよ。特にお父様は非常に有名な
方なんですね。でTomの息子は夏休み最後の日というわけで、ついでだから親戚一同でランチでも食べよう
なんて話にでもなっていたんだと思います。
息子も一緒に行くって聞いたときに、「ああさてはお父様にも会わせてくれるのかな?」って思ったんですが
案の定でした。K研究室に行く前にお父様の研究室に寄って、紹介してもらいました。
いやー、もうすっかりおじいさんですね。80ウン歳ってところでしょうか?左の写 真は廊下に貼ってあった
ものですが、これはずっと昔のものですね。
昼食はRogerと4人で食べようなんて話をTomとしてました(当然僕は含まれてません)。

 

さて、ではいよいよK研究室です。って、実は同じフロアーにあるんですけどね(笑)。
・・ところが!研究室にはだーれもいない!なにがあったんだろう?ってTomと話しながら
ウロウロしてたんですけど、 隣の研究室の人曰く”みんなセミナー室に集まってたよー”。

この一言はかなり衝撃的でした。
なんでかって?

数ヶ月前にKさんがUCSFに来たときは「こんどセミナーで喋ってよ」って確かに言ってたんですよ。
ところが、数日前に”セミナーはパソコンを使うから液晶プロジェクターが使えるかどうか彼に確認して欲しい”
ってTomに頼んだら、Tomは”えっ、別にプレゼンをしろってことではないんじゃない?ただみんなとディスカッション
するってことだとおもうけど? ”って言ったんですよ。”あれ〜、おかしいなあ〜。セミナーで喋らせてくれるってんで
楽しみにしてたのに・・。 ”と思いつつ、結局OHPとか原稿とかはなにも持っていかず、ただデータを見せる必要がある
から、一応ノートパソコンだけは持って行くことにしたのです。

・・というわけで、僕とTomがStanfordに着いた時点ではセミナーをするなんていうことは頭になかったんですよ。
ところが!
研究室に行ってみたら、みんなセミナー室に集まっているという・・・。
これは一体どういうことだ!?

で、いざセミナー室に入ってみるとみんな待っているではあーりませんか!
おそるおそる
”僕はここで発表することになってるんでしょうか??(Am I supposed to have a talk here?)”
って聞いたら、 みんな大爆笑ですよ。”お前のことを待っていたんだぞ”って言われてしまいました。

いやー、ホント危なかった。念のためパソコン持ってきてたからよかったけど、それがなかったら使えるのはチョークだけ・・(笑)。
とりあえずさすがビッグラボなだけあって、 液晶プロジェクターは常備してあってすぐに発表することができました。
ラッキーだったのは一週間ほど前にTomの研究室でのミーティングの順番が当たっていて、その内容をそのまま発表すれば
良かったということです。とりあえず発表自体はつつがなく終わりました。

もともと僕の仕事はTomのラボのテーマとはかなりずれていて、 むしろK研のテーマに近いのです。
だから、質問もかなりスルドくかつマニアック。ディスカッションも相当盛り上がりました。
面白かったのが、僕の調べている組織の構造にKさんが異常な感心をしめして、”ぶどうの房のような構造は
見られなかったか?” てなことをしきりに聞いてきたことです。”自分の調べた限りでは単なる細胞のかたま
りで、ステージによってはまん丸い形にみえるが、ぶどうの房のような構造はみたことがない ”というのが僕の
答えだったんですけど、Kさんはどうも この点にかなりのコダワリをみせたんです。
で、セミナーが終わった後に4〜5人のポスドクとともに昼食を食べたんですけど(その間Tomたちは親戚 一同
で食事だった)、 あるポスドクが、”お前あれはホントにぶどうの房状ではないのか?”ってまたその話題を蒸し
返してきたんです。 そしたら他のポスドクが、”いや、でもあのまん丸の構造をよく見ろよ・・・、あれは巨大な
ぶどう の一粒に見えるだろう??”。 これはなかなかウマイ。
”だったらリンゴでもみかんでもなんでもいいだろう!!”

とまあ、このようにTomはちょっと危険なミスを犯したわけですが、実はもう一つ重大な忘れ物をしていたのです。
それは僕には全然関係ないんですが、K研のポスドクを大いに失望させてしまいました・・・(!)。
研究室の中を見学させてもらったんですが、掲示板にはx月x日はMakoto SatoとTom がセミナーで
発表するって書いてあったんです。一人のポスドクがそれを見て、”本当はこの下に何か書いてあったんだけど
今日お前達が来たときに消したんだ。なんて書いてあったか知ってるか? ” 。実はそこには”Tomはスモーク
サーモンを食べきれないほど持って来るぞ ”と書いてあったらしいのです。
Tomはバケーションでアラスカに行ってヒラメとサケを沢山釣ってきたんです。で、家族では食べきれないから
研究室でfish partyをしたほどなんですけど、それでも食べきれないからスモークサーモンをたくさん作ったんですね。
今回は研究室のメンバーのためにスモークサーモンをたくさん持っていってやるって言ってたのでしょう。
Tomはすっかり忘れていたようですが、一部のポスドクはかなり根に持っていたましたよ・・(笑)。
昼食の時サーモンはどうしたんだって、10回くらい言われましたからね。”こうしてベーグルを食べているが
本当だったらサーモンを・・ ”なんて。って僕はなんにも悪くないんですけど(笑)。
あとからTomに”みんなサーモンを期待してたよ”って教えてあげたら、
ハッ!!っとして”しまった〜〜〜!!なんて恥ずかしいことを〜〜!!”って息子に向かって言ってました。
スモークサーモンは後日FedExで送ったそうです(笑)。

昼食のあと、Tomたちはさっさとサンフランシスコに帰ってしまったんですが、僕はK研究室を
見学して、何人かのポスドクとディスカッションして、さらに僕の実験に必要なハエの系統をもらいました。
いやー、この研究室はすごいですね。
ここには書かないですけど、近いうち大ブレイクしそうな仕事とかやっていて、うらやましい限りです。
あれは目の付け所が違うんですかねえ〜??ああやってオリジナルの分野を切り開いていける人ってなかなか
いないと思います。まあ僕もそういう仕事をしていかないといけないんでしょうけどね。
ボスも研究室内の人間もすごく良い雰囲気で和気あいあいとしてるし、素晴らしい環境だと思いますよ。

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